2019年度協同組合講座報告

「協同組合という文化」 

 シチズンシップと民主主義

 講師 明治大学名誉教授 

 中川雄一郎 氏

 

 2019年9月13日午後2時より 鶴岡市の勤労者会館大会議室にて2019年度の協同組合講座が開催されました。講師には明治大学名誉教授、中川雄一郎先生をお迎えし、「協同組合という文化」と題し講演をしていただきました。荘内地域の会員生協6会員から23名の参加がありました。

 

 講演の要旨

 「小農と農村で働く人の権利」の 国連決議の際、日本政府は棄権した。反対であればその理由を述べる必要があるが、棄権は理由も述べる必要もなく、一番卑劣なやり方である。これが象徴するように安倍自公政権になってから、日本の農政は特にひどくなっている。一昨年には日本の農家や地方自治体が守ってきた種子を守る法律である、種子法を廃止した。安倍政権が目指す「攻めの農業」とは大規模化、輸出に力を入れることだが、これは日本の農業を守り、国民を守ることにならない。事実2018年度の食料自給率がカロリーベースで前年度比1%減の37%であることが物語っている。以上、現在の農政を根本から批判したうえで、日本の農業の再生について述べた。

 次に、市民とコミュニティーの概念を歴史的に振り返った後で、イギリスでは協同組合法が株式会社法より早く制定され、協同組合が産業社会形成をけん引してきたことに触れました。この中で大切なことは、協同組合は「どういう地域、どういう文化、人と人との関係を」常に考えて事業(ビジネス)を行ってきたことを強調しました。こうしたことから、演題にあるように、「協同組合という文化」、つまり協同組合が一つの文化であると

 結論を述べました。

 私たちは、ともすると「〇〇文化」などと解釈しがちであるが、これは悪しき性癖であること。私たちが目指すべきは協同組合を通じて「文化と社会」あるいはまた「文化と社会と経済と政治」の相互関係を意識すること、そして他方で、単なる専門知識でも単にだれもが知っている知識でもない「乾山で実際的な判断力」に基づいた「だれもが共有し得るセンス」、すなわちコモンセンスを広げかつ深化させていく機会を社会に提供するよう意識すること、と結びました。

以上